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大規模修繕の基本 約4分で読めます

修繕周期は何年か。12年周期は絶対ではない

目安はあるが、決めるのは建物の状態

修繕周期は何年か。12年周期は絶対ではない

「大規模修繕は12年ごと」という説明を、管理会社から受けた方は多いと思います。

この数字には根拠がありますが、絶対の基準ではありません。 そして実際の周期は、12年より長いのが一般的です。

周期を決めるのは、年数ではなく建物の状態です。

「12年」はどこから来たのか

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドライン等において、分譲マンションでは12年程度の周期で大規模な修繕工事を行うことが一般的とされてきました。これが広く使われている根拠です。

あくまで計画を作るための目安であり、「12年で必ず工事すべき」という規定ではありません。

実際の周期は、13年が最も多い

国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」(2022年6月公表)によると、実態は次のようになっています。

項目 結果
平均修繕周期 13年が最多。次いで12年、14年、15年
12〜15年周期の割合 全体の約7割
1回目までの平均周期 15.6年
2回目までの平均周期 14.0年
3回目までの平均周期 12.9年

注目すべきは、回数が増えるほど周期が短くなっている点です。

築年数が経つほど劣化の進行が速くなり、修繕の間隔が詰まります。1回目の感覚で2回目・3回目の計画を立てると、資金が足りなくなります。

「12年周期」を前提にした長期修繕計画は、実態とずれている可能性があります

計画上は12年でも、実際には15年前後で1回目を迎えている建物が多いということです。

計画の見直しの際に、この差を確認してください。

周期を延ばす判断、早める判断

判断の材料は、年数ではなく状態

年数だけで決めず、建物の状態を確認してから判断します。

早めたほうがよい兆候 延ばせる可能性がある条件
外壁のひび割れが増えている 前回の工事の仕様が良かった
タイルの浮きや剥落がある 立地の条件が穏やか(塩害・日射が弱い)
屋上やバルコニーで漏水が出ている 定期的な点検と部分補修をしてきた
シーリングが硬化し、切れている 劣化調査の結果が良好
鉄部の錆が進行している

3番目が出ている場合、先送りできません。 水が入っている状態は、内部の劣化が進行している状態です。

一方、延ばせる場合もあります。 建物診断の結果が良好で、部分的な補修で対応できるなら、周期を数年延ばすという判断はあり得ます。

ただし、延ばすなら根拠が要ります。 「積立金が足りないから延ばす」は根拠ではありません。診断の結果にもとづいて延ばした、という記録を残してください。

周期を延ばすと、どうなるか

費用が減るわけではありません。

  • 劣化が進むほど、下地補修の量が増える
  • 補修の量が増えれば、工事費も増える
  • 漏水が起きていれば、内部の補修も必要になる

先送りは、支払いの時期をずらす手段であって、総額を減らす手段ではありません。

そのうえで、資金が足りないことを理由に延ばすなら、その間に資金計画を立て直す必要があります。 延ばしただけで対策を取らなければ、次の周期でも同じ問題が起きます。

建築基準法の定期報告との関係

一定の建築物には、建築基準法にもとづく定期的な調査と報告が義務づけられています。外壁については、竣工または外壁改修から一定期間が経過した後、全面的な打診等による調査が必要とされます。

この時期が、大規模修繕の検討の起点になることがあります。 足場を組んで調査するなら、その機会に修繕も行うほうが効率的だからです。

自分の建物が対象になるかどうかを、管理会社または特定行政庁に確認してください。

計画の見直しは定期的に行う

長期修繕計画は、作って終わりではありません。 一定期間ごとに見直すことが求められています。

  • 実際の劣化の状況を反映する
  • 工事費の変動を反映する
  • 積立金の残高と照らす

見直さないまま年数だけが過ぎると、計画と実態が大きくずれます。 そして、その差に気づくのは工事の直前になります。

理事の任期中に見直しの時期が来たら、次の理事へ申し送ってください。

※ 本記事は公表資料をもとにした一般的な整理です。適切な周期は建物の状態と条件によって変わります。

出典:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」(2022年6月公表)/国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
修繕周期大規模修繕を行う間隔。長期修繕計画で設定する。
長期修繕計画将来の修繕内容・時期・費用を見通した計画。定期的な見直しが求められる。
建物診断建物の劣化の状況を調べる調査。修繕の要否と範囲を判断する材料になる。
打診調査外壁を打診棒などで叩き、浮きや剥離を調べる調査。
定期報告建築基準法にもとづき、建築物の状況を調査して報告する制度。
下地補修仕上げの下にあるコンクリートのひび割れや欠損を直す工事。
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