メインコンテンツへスキップ
大規模修繕の基本 約3分で読めます

長期修繕計画の読み方と見直し

作った時点で、すでに古くなっていく書類

長期修繕計画の読み方と見直し

管理組合には、長期修繕計画という書類があります。

理事になって初めて手に取る方が多いと思います。分厚く、表が並んでいて、読むのに気が重い書類です。

ただし、見るべき場所は限られています。 そして、そこを見れば資金が足りるかどうかが分かります。

何が書かれているか

項目 内容
建物の概要 戸数、延床面積、階数、築年
推定修繕工事項目 何を修繕するか(外壁、防水、給排水など)
修繕周期 それぞれを何年ごとに行うか
推定修繕工事費 それぞれにいくらかかる見込みか
収支計画 積立金の収入と、工事による支出の推移

理事が最初に見るべきなのは、最後の収支計画です。

ここに、「何年の時点で、残高がいくらになるか」が書かれています。マイナスになる年があれば、そこが問題の起点です。

国土交通省のガイドライン

長期修繕計画の作り方については、国土交通省が「長期修繕計画作成ガイドライン」を示しています。

  • 計画期間は、大規模修繕工事を2回含む30年以上とすることが推奨されています(従来は25年以上)
  • 一定期間ごとの見直しが必要とされています

期間が30年以上とされているのは、2回目の工事まで見通さないと資金計画が立てられないためです。1回目だけを見た計画では、2回目で足りなくなります。

なぜ見直しが要るのか

前提が変われば、計画も変わる

計画は、作った時点の前提で組まれています。 その前提は、時間とともにずれます。

ずれる要素 内容
工事費 資材や人件費が変動する
修繕周期 実際の劣化が、想定と違う
積立金の収入 値上げが実行されていない
駐車場収入 空きが増えて減る
工事の範囲 想定外の劣化が見つかる

1番目と3番目が組み合わさると、差が急速に広がります。 支出の見込みが上がり、収入が計画どおり増えていない状態です。

見直さないまま年数が過ぎると、工事の直前に不足が発覚します。 そのときには、選べる手段が限られています。

どこを見るか

理事として確認するのは、次の5点です。

1. 計画がいつ作られ、いつ見直されたか2. 収支計画で、残高がマイナスになる年があるか3. 前提としている工事費が、いつ時点のものか4. 修繕周期が、実際の建物の状態と合っているか5. 積立金の額が、計画どおりに増えているか

1番目を最初に見てください。 10年以上見直されていない計画は、現在の判断材料にはなりません。

5番目も重要です。 段階的に増額する前提で作られている計画で、その値上げが実行されていなければ、収支計画は成立していません。

見直しの進め方

見直しは、理事会だけで行う必要はありません。

  • 管理会社に作成・見直しを依頼する
  • 専門の会社やマンション管理士に依頼する
  • 修繕委員会で内容を検討する

依頼する場合、費用がかかります。 ただし、不足に気づかないまま工事の時期を迎えるより、はるかに小さい負担です。

見直しの結果は、総会で報告してください。 資金が足りないことが分かった場合、その事実を共有することが、値上げの合意形成の出発点になります。

計画と実績を並べる

見直しのときに、必ず実績と並べてください。

  • 前回の工事で、実際にいくらかかったか
  • 計画上の金額と、どれだけ差があったか
  • 何が想定外だったか

この比較が、次の計画の精度を上げます。 そして、前回の記録がないと、この比較ができません。

今回の工事の記録を残すことは、次の計画のための作業でもあります。

理事が引き継ぐこと

長期修繕計画は、理事の任期を大きく超える書類です。

  • 計画の最新版がどこにあるか
  • 次の見直しはいつか
  • 現在の残高と、計画上の残高の差
  • 検討中の課題(値上げ、工事時期など)

この4点を、次の理事へ引き継いでください。 引き継がれないと、毎年ゼロから確認することになります。

※ 本記事は公表資料をもとにした一般的な整理です。計画の内容と見直しの方法は、建物の条件によって変わります。

出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」/国土交通省「令和5年度マンション総合調査」(2024年6月公表)

複数の施工会社から、無料でお見積りを取れます

大規模修繕laboは、発注者と施工会社をつなぐ中立の窓口です。ご相談は無料です。

無料相談はこちら

付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
長期修繕計画将来の修繕内容・時期・費用を見通した計画。
推定修繕工事項目計画上、将来行うと想定している工事の項目。
収支計画積立金の収入と工事の支出、残高の推移を示した表。
計画期間計画が対象とする年数。大規模修繕2回を含む30年以上が推奨される。
段階増額積立方式当初を低く設定し、段階的に引き上げていく積立の方式。
マンション管理士マンションの管理に関する助言を行う国家資格者。
大規模修繕でお困りですか?
無料見積もり・即日対応いたします
お問い合わせ →
無料相談 → 03-6821-8657