メインコンテンツへスキップ
大規模修繕の基本 約4分で読めます

検討開始から完了までの全体スケジュール

律速になるのは工事ではなく、総会の開催サイクル

検討開始から完了までの全体スケジュール

「工事は数か月で終わる」と聞いて、その感覚で計画を立てると間に合いません。

大規模修繕で時間がかかるのは、工事ではなく、そこに至るまでの合意形成です。

そして、日程を決めているのは総会の開催時期です。ここを理解すると、逆算の起点が見えてきます。

段階と、やること

段階 主にやること
① 準備 長期修繕計画の確認、積立金の残高確認、修繕委員会の設置
② 建物診断 劣化の状況を調べ、必要な工事の範囲を把握する
③ 発注方式の決定 責任施工か設計監理か、管理会社に任せるかを決める
④ 仕様の決定 何をどこまで行うかを固める
⑤ 施工会社の選定 複数社から見積を取り、比較する
⑥ 住民への説明 アンケート、説明会
⑦ 総会の決議 工事の実施と予算を議決する
⑧ 契約 施工会社と契約を結ぶ
⑨ 工事 着工から完了まで
⑩ 引渡し・アフター 完了検査、記録の保管、点検

⑨だけが工事です。 ①〜⑧はすべて準備で、ここに大半の時間がかかります。

総会が、日程を決めている

区分所有法では、管理者は少なくとも毎年1回、集会を招集しなければならないとされています。多くの管理組合では、通常総会は年に1回です。

つまり、決議の機会は年に1度しかありません。

  • そこに議案を間に合わせられなければ、1年待つことになる
  • 臨時総会を開くことはできるが、招集の手続きと出席の確保が必要
  • 決議が通らなければ、次の総会まで進まない

この構造が、大規模修繕の日程を決めています。

逆算の起点は、工事の着工日ではなく総会の日です

総会に議案を出すには、その前に見積の比較も、説明会も、資料の作成も終わっていなければなりません。

総会の日から逆算して、いつ何を始めるかを決めてください。

理事の任期をまたぐ

検討期間は、任期より長い

理事の任期は1〜2年が一般的です。そして、大規模修繕の検討はそれより長くなります。

つまり、検討の途中で理事が交代することが前提になります。

  • 引き継ぎができていないと、検討が振り出しに戻る
  • 前の理事が集めた資料が、どこにあるか分からなくなる
  • 「なぜその案にしたのか」を、誰も説明できなくなる

だから修繕委員会を設け、任期をずらすという設計が要ります。 理事と同時に全員が交代する体制では、検討が続きません。

そして、記録を残すことが実務上の最優先事項になります。

各段階で、時間がかかる理由

② 建物診断調査そのものは短期間ですが、報告書を読み、内容を理解する時間が要ります。委員会で共有し、質問し、範囲を検討する。ここを急ぐと、判断の根拠が弱くなります。

⑤ 施工会社の選定複数社に見積を依頼し、それぞれが現地を見て、見積を作る。この往復に時間がかかります。 そして、比較して質問し、修正してもらう。1回では終わりません。

⑥ 住民への説明アンケートで意見を集め、説明会を開き、出た質問に答える。反対意見が出れば、その対応も要ります。 ここを飛ばして総会に進むと、決議が通りません。

早く動くほど、選択肢が増える

準備の期間が短いと、次のことが起こります。

時間が足りない場合に起きること
  • 建物診断の結果を検討せず、提案された範囲で進める
  • 複数社を比較する時間がなく、1社の見積で決める
  • 住民への説明が不足し、総会で反対が出る
  • 資金が足りないと分かっても、値上げの合意が間に合わない
  • 総会に間に合わず、1年先送りになる

4番目と5番目が、特に痛手です。 積立金の値上げは合意形成に時間がかかるため、工事の直前に持ち出しても間に合いません。

いつ動き始めるか

長期修繕計画で予定されている時期の、数年前が目安になります。

そのころに、次を確認してください。

  • 長期修繕計画で、次の工事はいつの予定か
  • 積立金の残高は、計画どおりか
  • 前回の工事から何年経っているか
  • 建物に、気になる劣化の兆候はないか

この確認だけなら、費用はかかりません。 そして、不足や遅れが見つかれば、対応する時間が残ります。

逆に、確認しないまま予定の年を迎えると、そこから全部を始めることになります。

理事として引き継ぐこと

任期の終わりに、次の理事へ伝えてください。

  • 現在どの段階にいるか
  • 次にやることは何か
  • 検討済みの内容と、その資料の場所
  • 決まっていないこと、保留にしていること

4番目が抜けやすい部分です。 「まだ決まっていない」ことこそ、引き継がないと同じ議論を繰り返します。

※ 本記事は一般的な整理です。必要な期間は建物の規模と組合の体制によって変わります。

出典:建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)/国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」

複数の施工会社から、無料でお見積りを取れます

大規模修繕laboは、発注者と施工会社をつなぐ中立の窓口です。ご相談は無料です。

無料相談はこちら

付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
通常総会年に1回開催される、区分所有者による定期の集会。
臨時総会必要に応じて、通常総会とは別に開催される集会。
建物診断建物の劣化の状況を調べる調査。
修繕委員会大規模修繕の検討を行うために設ける組織。
発注方式責任施工方式、設計監理方式など、工事を発注する形式。
区分所有法マンションの権利関係と管理について定めた法律。
大規模修繕でお困りですか?
無料見積もり・即日対応いたします
お問い合わせ →
無料相談 → 03-6821-8657