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費用と資金 約4分で読めます

工事項目別に見る費用の内訳

面積で決まる項目と、劣化の量で決まる項目がある

工事項目別に見る費用の内訳

見積書を開くと、工事項目が並んでいます。それぞれが何のための費用なのかが分かると、金額の意味が見えてきます。

そして重要なのは、項目によって金額の決まり方が違うという点です。

面積で決まるものは、事前に確定します。 劣化の量で決まるものは、足場を組んでからでないと確定しません。

主な工事項目

項目 何をするか 何で決まるか
仮設工事 足場、養生シート、仮設事務所 建物の外周と高さ、期間
下地補修 ひび割れ、欠損、浮きの補修 劣化の量(変動する)
外壁塗装 洗浄、下塗り、上塗り 塗装する面積
タイル補修 浮きの調査と張り替え、注入 浮きの量(変動する)
シーリング 既存の撤去と打ち替え、増し打ち 目地の総延長
防水 屋上、バルコニー、開放廊下 防水する面積
鉄部塗装 階段、手すり、扉、設備 塗装する面積
建具・金物 交換や補修 数量
諸経費 現場管理費、一般管理費 工事全体の規模

このうち、2番目と4番目だけが性質が違います。

面積で決まる項目

外壁塗装、防水、シーリング、鉄部塗装は、建物の形状から数量が決まります。

  • 図面と現地の実測で、面積や延長を算出できる
  • 見積の段階で、数量が確定している
  • 各社の数量が、大きく違うことは少ない

各社で数量に差がある場合、拾い方の前提が違います。 どこまでを対象にしているかを確認してください。

単価の差は、材料のグレードと工法の違いです。塗料の種類、防水の工法、シーリング材の種類。仕様が違えば単価も違います。

だから、比較するには仕様を揃える必要があります。 単価だけを比べて安いほうを選ぶと、仕様が落ちているだけということがあります。

劣化の量で決まる項目

開けてみないと、量が分からない

下地補修とタイル補修は、劣化の量に比例します。 そして、その量は足場を組んで調査するまで確定しません。

  • ひび割れの長さ
  • 欠損の面積
  • タイルの浮きの枚数

建物診断である程度は把握できますが、地上や部分的な調査では限界があります。 全面に足場を組んで打診してはじめて、正確な量が出ます。

したがって、見積の段階では想定の数量です。

ここが、追加費用の最大の原因になります。

精算の方法を、契約の前に確認してください

実際の数量で精算するのか、想定の数量で固定するのか。

想定より少なかった場合に減額されるのかも、あわせて確認してください。

仮設工事の比重

足場は、何かを直す工事ではありません。 それでも金額が大きくなります。

そして、工期が延びればリース期間も延びます。 天候による遅れが、足場の費用に跳ね返る構造です。

足場が必要な工事をまとめて行うのが合理的なのは、この費用を一度で済ませるためです。工事を減らして次回に回すと、次回また足場代がかかります。

公的な調査の工事内訳

国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、大規模修繕工事の工事内訳についてもデータが整理されています。戸数規模別の集計も公表されています。

自分と同規模のマンション群のデータと比べることで、相対的な位置づけを確認できます。

ただし、この調査の工事金額は直接工事費であり、共通仮設費・現場管理費・一般管理費・消費税は含まれていません。見積の総額と直接比べることはできません。

各社の見積を、項目ごとに並べる

総額だけを比べないでください。 項目ごとに並べると、差がどこにあるかが分かります。

差がある場所 考えられる理由
数量が違う 拾い方の前提が違う、範囲が違う
単価が違う 材料のグレード、工法が違う
項目が無い その工事を含んでいない
諸経費の比率が違う 計上の方法が違う

3番目が最も注意が要ります。 ある会社の見積にだけ項目がない場合、安いのではなく、やらないだけです。

差が大きい項目については、各社に理由を聞いてください。 説明できる差は判断材料になり、説明できない差はそこに疑問が残ります。

減らすなら、どこから

足場が要らない工事から検討してください。

足場を組む機会にまとめて行うべき工事を次回に回すと、次回また足場代が発生します。 削った額より、余分にかかる額のほうが大きくなり得ます。

そして、削る判断には根拠が要ります。 建物診断の結果にもとづいて「今回は不要」と判断したのか、単に予算の都合なのか。後で住民に説明できる形にしてください。

※ 本記事は公表資料をもとにした一般的な整理です。工事の項目と費用は建物の条件によって変わります。

出典:国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
仮設工事工事のために一時的に設ける設備の工事。足場や養生など。
下地補修仕上げの下にあるコンクリートのひび割れや欠損を直す工事。
打診調査外壁を打診棒などで叩き、浮きや剥離を調べる調査。
シーリング目地やサッシまわりの隙間を埋める材料。
直接工事費実際の工事にかかる費用。材料費と施工の手間。
精算実際の数量が確定した時点で、金額を確定させること。
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