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費用と資金 約4分で読めます

追加費用が発生する場面と、その扱い

増える可能性がある項目は、最初から決まっている

追加費用が発生する場面と、その扱い

契約した金額で終わると思っていたら、工事の途中で追加の請求が出てきた。

管理組合にとって、これは金額の問題であると同時に手続きの問題です。総会で決議した予算を超えると、その処理が必要になります。

そして、追加が出る項目は最初から分かっています。

追加が出る4つの場面

場面 内容
① 下地補修の数量が増えた 足場を組んで調査したら、想定より劣化していた
② 想定外の劣化が見つかった 見えていなかった部分に問題があった
③ 住民の要望で工事が増えた 説明会や工事中に、追加の希望が出た
④ 工期が延びた 天候などで、仮設の期間が延びた

①が圧倒的に多い形です。 そして、これは避けられません。

外壁のひび割れや、タイルの浮きの量は、全面に足場を組んで打診してはじめて確定します。 見積の段階では想定です。

つまり、①は「想定外」ではなく「想定の範囲内で動く項目」です。

契約で、扱いを決めておく

①への対応は、契約の方法で決まります。

方式 内容
数量精算 実際の数量で精算する。増えれば追加、減れば減額
数量固定(一式請負) 想定の数量で金額を固定する

どちらにも一長一短があります。

数量精算は、実際にやった分だけ払うという点で公平です。ただし、総額が確定するのは工事の終盤になります。

数量固定は、総額が最初に確定します。 ただし、想定より少なくても減額されないため、業者側が余裕を見た数量で見積ることになります。

重要なのは、どちらであるかを契約前に確認することです。

「減った場合は減額されるのか」を必ず聞いてください

増えたときだけ追加され、減っても減額されない、という形は公平ではありません。

精算の方向が、双方向であるかを確認してください。

追加が出たときの手順

その場で決めない

現場で口頭で決めないでください。

1. 施工会社から、書面で報告を受ける(何が、どれだけ、なぜ増えたか)2. 写真などの記録を求める(撤去してしまえば確認できない)3. 金額の根拠を確認する(契約時の単価が適用されているか)4. 理事会で判断する(誰が承認するかを事前に決めておく)5. 記録を残す

2番目が重要です。 下地補修の数量が増えたという報告を受けても、補修してしまえば元の状態は確認できません。 施工前の写真を必ず求めてください。

3番目も確認してください。 追加分の単価が、契約時の単価をそのまま使っているか。別の単価が適用されていないかを見てください。

誰が承認するかを、事前に決める

工事中に総会は開けません。 そのため、追加の承認を誰が行うかを事前に決めておく必要があります。

  • 一定の金額までは理事会が承認する
  • それを超える場合は臨時総会を開く
  • 承認の記録を残す

この取り決めを、総会の議案に含めてください。 「工事に伴う軽微な変更は理事会に一任する」という形が使われます。

一任の範囲を、金額で示しておくと明確になります。 範囲が曖昧だと、後から「理事会が勝手に決めた」と言われます。

予備費という考え方

総会で決議する予算に、あらかじめ予備費を含めておくという方法があります。

  • 追加が出たとき、その範囲内で対応できる
  • 臨時総会を開かずに済む
  • 使わなければ、積立金に戻る

ただし、予備費の使い道と承認の方法を明確にしてください。 「予備費があるから」と無条件に使えると、統制が効きません。

使った場合は、必ず報告してください。 何に、いくら使ったか。次回の総会で報告するという運用にしておくと、透明性が保てます。

③への対応

住民の要望による追加は、性質が違います。

  • 工事の必要性から出たものではない
  • 費用は組合の負担になる
  • 一部の住民の要望である場合がある

説明会や工事中に「ついでにこれも」という要望が出ることがあります。 その場で受けると、費用も工期も増えます。

判断の手順を決めておいてください。 誰が受け付け、どこで判断し、どう決議するか。現場で職人に直接依頼されるという形は、必ず防いでください。

④への対応

工期が延びると、仮設の費用が増えます。

天候による遅れは、通常は追加費用にならない扱いが一般的です。ただし、契約で定めがないと争いになります。

  • 天候による遅延の扱い
  • 遅延した場合の仮設費の負担
  • 工期を延長する場合の手続き

契約書で確認してください。

追加費用で揉める典型
  • 精算の方法を確認しないまま契約した
  • 増額だけがあり、減額の規定がなかった
  • 現場で口頭合意し、後から請求が来た
  • 承認の権限が曖昧で、誰が決めたか分からない
  • 施工前の写真がなく、増加の根拠を確認できない

最後の項目は、後から取り返せません。 報告の際に写真を求めることを、契約の段階で決めておいてください。

※ 本記事は一般的な整理です。実際の扱いは契約内容と管理規約によって変わります。

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
数量精算実際の数量が確定した時点で、金額を精算する方式。
一式請負数量の増減にかかわらず、契約した金額で行う方式。
下地補修仕上げの下にあるコンクリートのひび割れや欠損を直す工事。
予備費想定外の支出に備えて、予算に含めておく費用。
臨時総会必要に応じて、通常総会とは別に開催される集会。
仮設工事工事のために一時的に設ける設備の工事。足場や養生など。
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