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費用と資金 約4分で読めます

借入という選択肢と、その検討材料

借りるということは、将来の積立金を先に使うこと

借入という選択肢と、その検討材料

積立金が足りない。しかし、工事を先送りできる状態ではない。

このとき検討されるのが、管理組合としての借入です。

「管理組合がお金を借りられるのか」と驚かれることがありますが、そのための仕組みがあります。

仕組み

管理組合向けの融資制度があります。住宅金融支援機構が扱う、マンションの共用部分のリフォームを対象とした融資などがこれにあたります。

民間の金融機関でも、管理組合向けの商品を扱っている場合があります。

共通する特徴

  • 借りるのは管理組合(区分所有者個人ではない)
  • 返済の原資は、将来の修繕積立金
  • 総会の決議が必要になる
  • 管理規約に、借入に関する定めが必要な場合がある

具体的な条件や金利は、制度と時期によって変わります。 検討する際は、必ず取扱機関に直接確認してください。

返済の原資は、将来の積立金

ここが最も重要な理解です。

借入をしても、返すのは組合の資金です。つまり、将来の修繕積立金から返済していくことになります。

そして、返済の分だけ月々の負担が増えます。

  • 現在の積立金の水準では、返済に足りない場合がある
  • その場合、実質的には値上げとセットになる
  • 借入は、値上げを避ける方法ではない

「借りれば値上げしなくて済む」という理解は、正しくありません。

支払いの時期を後ろへずらす方法であり、負担そのものが消えるわけではありません。

借入によって、将来の修繕の資金が圧迫されないかを確認してください

返済が続いている間も、次の修繕に向けた積立は必要です。

長期修繕計画に、返済を織り込んだうえで収支を見てください。

それでも借入が有効な場合

負担を、時間で分ける

次のような状況では、合理的な選択肢になります。

状況 理由
劣化が進んでおり、先送りできない 工事を予定どおり行える
一時金への反対が強い 一度に大きな負担を求めずに済む
値上げの合意に時間がかかる 工事と資金調達の時期を分けられる
世帯間の負担を平準化したい 後から入居する所有者も、返済を分担する

4番目は、公平性の観点です。

一時金で徴収すると、その時点の所有者だけが負担します。 工事の効果は、その後に購入した所有者も受けます。

借入をして長期で返済すれば、将来の所有者も負担を分担することになります。

どちらが公平かは考え方によりますが、この論点があることを知っておいてください。 総会での説明の材料になります。

検討するときに確認すること

1. 借入が可能な条件を満たしているか(積立金の水準、滞納の状況など)2. 管理規約に、借入に関する定めがあるか3. 必要な決議の種類4. 返済の期間と、月々の負担5. 返済期間中の、次の修繕への備え6. 繰上返済の可否

2番目を先に確認してください。 規約に定めがない場合、規約の変更が必要になることがあります。 そうなると、決議の要件も手続きも変わります。

5番目が、最も見落とされます。 返済をしながら、次の修繕の資金も貯める。この両立ができるかを、長期修繕計画で確認してください。

決議と手続き

総会の決議が必要です。

  • 借入を行うこと
  • 借入の金額と条件
  • 返済の計画
  • 積立金の額の変更(必要な場合)

これらを、議案として整理してください。

手続きには時間がかかります。 申込、審査、契約。工事の日程から逆算して、余裕を持って動いてください。

そして、この手続きも理事の任期をまたぐ可能性があります。 進捗を記録し、引き継いでください。

他の選択肢と、並べて示す

総会では、借入だけを提案しないでください。

  • 値上げした場合の、月々の負担
  • 一時金にした場合の、一世帯あたりの負担
  • 借入をした場合の、返済期間と月々の負担
  • 工事を縮小した場合の、削る範囲

並べて示すと、判断がしやすくなります。

「借入しかない」という提案の仕方は、反発を招きます。 選択肢を示したうえで、なぜこれを推すのかを説明してください。

借入で注意すること
  • 返済の原資が、将来の積立金であることの説明が不足していた
  • 返済期間中の、次の修繕への備えを考えていなかった
  • 管理規約に定めがなく、手続きが遅れた
  • 手続きに要する期間を、工事の日程に織り込んでいなかった
  • 他の選択肢と比較せずに、借入だけを提案した

※ 本記事は一般的な整理であり、金融商品の説明や助言を行うものではありません。制度の内容と条件は、時期と取扱機関によって変わります。実際の検討は、取扱機関および専門家にご確認ください。

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
修繕積立金将来の修繕に備えて、区分所有者から毎月集める資金。
一時金不足分を補うために、臨時に徴収する費用。
繰上返済予定より早く、借入金の一部または全部を返済すること。
管理規約管理組合の基本的なルールを定めたもの。
長期修繕計画将来の修繕内容・時期・費用を見通した計画。
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