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進め方と合意形成 約4分で読めます

検討を始めるのはいつからが適切か

5つのきっかけのどれかが来たら、動き出す

検討を始めるのはいつからが適切か

「そろそろかもしれない」と思ったときが、たいてい遅いというのが実情です。

理事の任期は短く、検討には時間がかかります。気づいたときには、選べる手が減っています。

では、何をきっかけに動き出せばよいのか。 判断できる状況が、5つあります。

5つのきっかけ

① 長期修繕計画で、予定の時期が近づいた

最も分かりやすいきっかけです。

計画上の実施時期の数年前が、検討を始める目安になります。

「予定の年になってから」では遅い理由は、準備に時間がかかるためです。診断、比較、説明、決議。総会の開催サイクルにも縛られます。

② 前回の工事から、一定の年数が経った

計画がない、あるいは古い場合の判断材料です。

国土交通省の令和3年度実態調査によると、平均修繕周期は13年が最多で、12〜15年周期が全体の約7割を占めます。

回数によっても違います。 1回目までの平均は15.6年、2回目は14.0年、3回目は12.9年。回を重ねるほど短くなります。

前回から10年を超えたら、状態の確認を始めてよい時期です。

③ 建物に、気になる兆候が出た

  • 外壁のひび割れが増えた
  • タイルが浮いている、剥落した
  • 屋上やバルコニーで漏水が出た
  • シーリングが切れている
  • 鉄部の錆が目立つ

3番目が出ている場合、待てません。 水が入っている状態は、内部の劣化が進行しています。

住民からの報告も、重要な情報源です。 アンケートで「気になる不具合」を聞くと、理事が知らない情報が出てきます。

④ 定期報告の時期が近づいた

建築基準法にもとづく定期報告制度の対象になっている建物では、外壁の全面打診等の時期が検討のきっかけになります。

告示では、おおむね10年に一度の全面打診等が求められる一方、3年以内に外壁の改修等が確実である場合などは除かれるとされています。

つまり、調査の時期と修繕の時期を揃えられます。 足場を組む機会を一度にできるためです。

次の全面打診がいつかを、確認してください。

⑤ 積立金の見直しが議題になった

資金の側からのきっかけです。

長期修繕計画を見直したところ、将来の残高が不足すると分かった。 この時点で、工事の時期と資金の両方を検討する必要があります。

そして、値上げの合意には時間がかかります。 工事の直前では間に合いません。

最初にやること

費用をかけずにできる確認がある

いきなり業者に連絡する必要はありません。

次の確認は、費用をかけずにできます。

1. 長期修繕計画があるか、いつ作られ、いつ見直されたか2. 計画上、次の工事はいつの予定か3. 修繕積立金の残高と、月々の収入4. 前回の工事はいつ、何をしたか(記録があるか)5. 建物に、目に見える劣化の兆候があるか6. 定期報告の対象か、次の調査の時期はいつか

4番目で、記録が見つからないことがあります。 その場合、それ自体が今回の課題です。 今回の工事の記録は、必ず残してください。

この6点を確認するだけで、現在の位置が分かります。 そして、次に何をすべきかも見えてきます。

早く動くと、何が変わるか

早く動いた場合 遅く動いた場合
資金 値上げの合意に時間を使える 一時金か借入しか選べない
比較 複数社を丁寧に比較できる 1社の提案で決めることになる
合意形成 説明会を複数回開ける 総会の直前に説明することになる
工事の範囲 診断にもとづいて判断できる 提案されたまま進めることになる
補助制度 申請の時期に間に合う 対象外になる

すべての行に共通しているのは、選択肢の数です。

早く動くことは、良い工事をするためというより、選べる状態を作るためです。

理事の任期との関係

検討は、任期を超えます。

  • 今期にできることを決める
  • できなかったことを、次期へ引き継ぐ
  • 修繕委員会を設け、任期をずらす

「自分の任期中に終わらないから」という理由で、着手を先送りしないでください。

始めた記録を残せば、次の理事が続けられます。 逆に、誰も始めなければ、毎年ゼロのまま年数が過ぎます。

総会で、検討の開始を報告する

理事会だけで進めないでください。

「大規模修繕の検討を始めます」と、総会で報告するだけで、住民の受け止め方が変わります。

  • 検討していることが、共有される
  • 「いつの間にか決まっていた」という不信を防げる
  • 修繕委員会への参加を募る機会にもなる

まだ何も決まっていない段階で報告することに、意味があります。

※ 本記事は公表資料をもとにした一般的な整理です。適切な時期は建物の状態によって変わります。

出典:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」(2022年6月公表)/建築基準法/平成20年国土交通省告示第282号

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
長期修繕計画将来の修繕内容・時期・費用を見通した計画。
修繕周期大規模修繕を行う間隔。
定期報告制度建築基準法にもとづき、建築物の状況を調査して報告する制度。
全面打診落下のおそれのある部分について、全面的に打診等を行う調査。
修繕委員会大規模修繕の検討を行うために設ける組織。
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