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進め方と合意形成 約4分で読めます

議事録と記録の残し方

決めたことより、決めなかったことを残す

議事録と記録の残し方

議事録は、事務作業に見えます。 面倒で、後回しになりがちです。

しかし大規模修繕において、記録は合意形成の道具です。

理事が最終的に問われるのは「なぜこうなったのか」であり、その答えは記録の中にしかありません。

何を残すか

決まったことだけでは足りません。

残すもの なぜ必要か
決まったこと 何を決議したかの根拠
検討したが、採用しなかった案 「なぜそうしなかったのか」への答え
その判断の理由 後から説明するときの材料
受け取った資料 判断の前提が何だったか
住民から出た意見と、その扱い 意見が検討されたことの証拠

2番目が最も重要で、最も抜けやすい部分です。

工事が終わった後、住民から出る質問の多くは「なぜ別の方法にしなかったのか」です。

  • なぜあの会社ではなく、この会社なのか
  • なぜその工法を選んだのか
  • なぜ改良工事を含めなかったのか

「検討しました」では答えになりません。 何をどう比べ、どういう理由で採らなかったのか。そこまで記録があって、初めて説明になります。

いつ、誰が書くか

その場で、要点だけ書いてください。

後でまとめて作ろうとすると、負担が集中し、結局残りません。 そして時間が経つほど、議論の内容が曖昧になります。

  • 会議中に、決まったことをその場でメモする
  • 会議の最後に、要点を読み上げて確認する
  • 数日以内に、参加者へ共有する

3番目をやってください。 認識の食い違いは、共有した時点で見つかります。 後から「そんなことは決めていない」となるのを防げます。

完成度より、残っていることのほうが重要です。 体裁の整った議事録を目指して遅れるより、箇条書きでも早く共有するほうが実用的です。

管理会社に作成を依頼できる場合があります

管理委託契約の範囲に含まれているかを確認してください。

ただし、内容の確認は理事が行ってください。 記録の責任は組合にあります。

保管と閲覧

どこにあるかが、分かる状態にする

区分所有法では、集会の議事録について、保管と閲覧に関する定めがあります。

管理者等が保管し、利害関係人から請求があったときは、閲覧を拒めないとされています。保管場所の掲示についても定めがあります。

つまり、議事録は求められれば見せるものです。

むしろ、見られる状態にあることを周知してください。 閲覧の方法が分かるだけで、「隠している」という疑いが減ります。

実際に見に来る人は多くありません。見られる状態にあること自体に意味があります。

保管の方法を決める

  • 紙で保管するか、電子化するか
  • どこに置くか(管理室、理事長宅、管理会社)
  • 誰がアクセスできるか
  • 年度ごとに、どう整理するか

2番目が問題になります。 理事長の自宅に置いていると、交代のたびに移動し、そのうち行方が分からなくなります。

管理室や管理会社で一元管理するのが、実務的には確実です。

電子化しておくと、引き継ぎが楽になります。 ただし、保管の義務との関係を確認してください。 原本の扱いについては、管理規約や実務の運用によります。

工事の記録も残す

議事録とは別に、工事そのものの記録が要ります。

記録 なぜ必要か
施工前・施工中・施工後の写真 追加費用の根拠、品質の確認
使用した材料と工法 次回の検討の前提になる
最終的な図面 改修した範囲が分かる
実際にかかった金額と内訳 次の長期修繕計画の材料
保証書 不具合が出たときに必要
出た苦情と、その対応 次回の準備に使える

2番目と4番目が、次回に効きます。

前回何を使い、いくらかかったか。この記録がないと、次の計画は推測で作ることになります。

1番目は、工事中にしか撮れません。 契約の段階で、記録写真の提出を求めることを決めておいてください。

引き継ぎを前提に整理する

理事は交代します。 そのため、次の人が読んで分かる形にする必要があります。

  • 時系列で並んでいるか
  • 何の資料か、表題で分かるか
  • 現在どこまで進んでいるかが分かるか
  • 保留になっていることが分かるか

4番目が抜けやすい部分です。 決まったことは記録されますが、「まだ決まっていないこと」は残りにくい。

そして、次の理事が最も知りたいのはそこです。

記録で起きやすいこと
  • 後でまとめて作ろうとして、結局作られない
  • 決まったことだけが書かれ、経緯が残らない
  • 理事長の自宅に保管され、交代時に散逸した
  • 電子と紙が混在し、どれが最新か分からない
  • 工事の記録写真を求めておらず、後から確認できない

5番目は、契約の段階でしか手を打てません。 工事が終わってからでは、撮り直せません。

※ 本記事は一般的な整理です。保管と閲覧の取り扱いは管理規約と法令によります。

出典:建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
議事録会議の内容と決定事項を記録した書面。
利害関係人その事項について法律上の利害を有する者。
管理委託契約管理組合が管理会社に業務を委託する契約。
長期修繕計画将来の修繕内容・時期・費用を見通した計画。
区分所有法マンションの権利関係と管理について定めた法律。
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