メインコンテンツへスキップ
進め方と合意形成 約3分で読めます

理事の任期をまたぐときの引き継ぎ

決まっていないことこそ、引き継ぐ

理事の任期をまたぐときの引き継ぎ

理事の任期は1〜2年です。 そして、大規模修繕の検討はそれより長くかかります。

つまり、検討の途中で交代することが前提になります。

引き継ぎができていないと、次の理事は同じ議論をゼロからやり直します。 実際に、それで検討が止まる管理組合があります。

引き継ぎが弱いと、何が起きるか

起きること 原因
前回の議論を繰り返す 検討の経緯が残っていない
資料が見つからない 保管場所が引き継がれていない
業者との話が止まる 誰が窓口かが分からなくなる
決めたはずのことが、また議論になる 決定の記録がない
保留にしていたことが、忘れられる 未決事項が引き継がれていない

5番目が最も多く、最も損失が大きい形です。

決まったことは議事録に残ります。しかし「まだ決まっていないこと」は、どこにも書かれないことがあります。

そして、次の理事が最も知りたいのは、そこです。

引き継ぎ書に書くこと

A4で1〜2枚あれば十分です。 長い文書を作ろうとすると、作られません。

① 現在どの段階か

  • 検討のどこまで進んだか
  • 次に何をする予定か
  • いつまでに何をする必要があるか

② 決まったこと

  • 総会・理事会・委員会で決議した内容
  • その資料がどこにあるか

③ 決まっていないこと

  • 保留にしている論点
  • なぜ保留にしたのか
  • 誰の判断を待っているのか

④ 関わっている相手

  • 施工会社、コンサルタント、管理会社の担当者
  • それぞれの窓口と連絡先
  • どんなやりとりをしているか

⑤ 資料の所在

  • 議事録、見積、診断結果、図面がどこにあるか
  • 電子データがある場合、その場所

⑥ 注意すべきこと

  • 住民から出ている強い意見
  • 対応が必要な個別の事情
  • 期限が迫っていること

③と⑥が、引き継ぎ書の価値を決めます。 他は記録を見れば分かりますが、この2つは書かないと伝わりません。

委員会の任期を、理事とずらす

全員が同時に交代しない設計

制度的な対策として、これが最も有効です。

修繕委員会を、理事会と同時に全員交代させない。

  • 委員の半数ずつを交代させる
  • 工事の完了までを委員会の任期とする
  • 理事を退任した人が、委員として残る

3番目が実務的です。 検討の経緯を知っている人が、理事ではなくなっても委員会に残るという形です。

この設計を、委員会の設置時に決めてください。 後から変えるのは難しくなります。

引き継ぎのタイミング

任期の終わりに慌てて作らないでください。

  • 記録は、そのつど残しておく
  • 引き継ぎ書は、任期の終わりの1〜2か月前から準備する
  • 新旧の理事が、直接会って説明する機会を作る

3番目が効きます。 書面だけでは伝わらないことがあります。30分でも顔を合わせて話すと、伝達の質が変わります。

管理会社に同席してもらうという方法もあります。組合の経緯を継続的に把握しているためです。

総会でも、経過を報告する

引き継ぎは、理事の間だけの話ではありません。

総会で、大規模修繕の検討の経過を報告してください。

  • 今期に何を検討したか
  • 何が決まり、何が保留か
  • 次期にやること

これを毎年行うと、記録が総会議事録にも残ります。 そして、住民も検討の進捗を知ることになります。

「いつの間にか決まっていた」という不信を防ぐ効果もあります。

引き継ぐ相手がいない場合

次の理事が決まらない、なり手がいないという状況があります。

その場合、検討そのものが止まります。

  • 委員会に、理事でない組合員を入れておく
  • 管理会社に、経緯の記録を依頼しておく
  • 外部の専門家に、継続的に関与してもらう

1番目が、最も現実的な対策です。 理事が交代しても、委員会に経緯を知る人が残ります。

引き継ぎで抜けやすいこと
  • 保留にしている論点
  • 業者とのやりとりの経緯
  • 住民から出ている個別の要望
  • 資料の保管場所(特に電子データ)
  • 期限のあること(補助制度の申請、定期報告など)

5番目は、見落とすと取り返せません。 申請の期限、報告の期限。引き継ぎ書に「いつまでに何を」と書いておいてください。

※ 本記事は一般的な整理です。任期と体制は管理規約によって変わります。

中立の立場から、複数社の比較をお手伝いします

大規模修繕laboは、発注者と施工会社をつなぐ窓口です。ご相談は無料です。

無料相談はこちら

付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
輪番制順番に理事を務める方式。多くの管理組合で採用されている。
修繕委員会大規模修繕の検討を行うために設ける組織。決定権は持たない。
議事録会議の内容と決定事項を記録した書面。
定期報告建築基準法にもとづき、建築物の状況を調査して報告する制度。
管理委託契約管理組合が管理会社に業務を委託する契約。
大規模修繕でお困りですか?
無料見積もり・即日対応いたします
お問い合わせ →
無料相談 → 03-6821-8657