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会社選びと発注方式 約4分で読めます

管理会社に任せる場合の注意点

最も知っている相手であり、受注候補でもある

管理会社に任せる場合の注意点

大規模修繕の話は、多くの場合、管理会社からの提案で始まります。

「そろそろ時期です」「建物診断をしましょう」「工事の見積を用意しました」。流れとして自然で、理事にとっては最も楽な進め方です。

そして、そのまま管理会社に発注するという管理組合は少なくありません。

この選択肢自体は、間違いではありません。 ただし、構造を理解しておく必要があります。

管理会社に任せる利点

軽視できない利点があります。

利点 内容
建物の履歴を知っている 過去の修繕、不具合、住民の事情
窓口が1つで済む 日常の管理と工事が、同じ相手
事務の負担が軽い 総会の資料、住民への通知を任せられる
住民への説明に慣れている 管理組合の運営を日常的に見ている
工事後の対応が続く 引き続き管理を委託する相手である

1番目と5番目が、他社にはない強みです。

この建物で何が起きてきたかを、最もよく知っているのが管理会社です。そして、工事が終わった後も関係が続きます。

排除する理由はありません。

構造上の注意点

管理会社は、組合から管理を委託されている立場です。同時に、工事を受注する立場にもなり得ます。

この2つが重なると、利益が相反する構造が生じます。

  • 提案する側と、受注する側が同じ
  • 金額の妥当性を、提案した相手に検証してもらうことになる
  • 比較する相手がいなければ、その金額が基準になる

不正が起きるという意味ではありません。 チェックする仕組みが外側にないという、構造の問題です。

そして、多くの場合、管理会社は元請となり、実際の施工は協力会社が行います。 その分の費用が、金額に含まれます。

これは責任施工方式と同じ構造です

提案する側が施工する側でもある、という形。

対策も同じで、複数社から見積を取ることです。

確認すること

比較する相手がいるかどうか

管理会社の提案を検討すること自体は、問題ありません。 問題は、それしか見ないことです。

1. 他社からも見積を取る2. 同じ条件で依頼する(範囲、数量の拾い方、様式)3. 管理会社が元請か、紹介かを確認する4. 管理委託契約の範囲に、この業務が含まれるかを確認する5. 比較した結果を、記録に残す

3番目を確認してください。 管理会社自身が請け負うのか、施工会社を紹介するだけなのか。費用の構造が変わります。

4番目も重要です。 大規模修繕に関わる事務が委託契約に含まれているのか、別途の費用が発生するのか。曖昧なまま依頼すると、後から請求が来ます。

断りにくさという問題

実務上、これが最も大きな障害です。

日常の管理を委託している相手に、「他社にも見積を取ります」と言いにくい。 そして、選ばなかった場合、その後の関係が気になる。

しかし、相見積もりを取ること自体は通常の手順です。

  • 管理会社にも、他社と同じ条件で見積を出してもらう
  • 比較することを、最初に伝えておく
  • 選定の基準を明示する

最初に伝えておけば、後から気まずくなりません。 「複数社で比較する方針です」と先に共有してください。

そして、比較したうえで管理会社を選ぶなら、その判断には根拠があります。 住民にも説明できます。

比較せずに決めると、後から「なぜ比べなかったのか」と問われます。

提案を検討するときの見方

管理会社からの提案書を受け取ったら、次を確認してください。

  • 建物診断の結果にもとづいているか
  • 工事の範囲と、その理由が書かれているか
  • 見積に数量と単価が並んでいるか
  • 修繕と改良が分けて示されているか
  • 元請となる会社と、施工する会社が示されているか

4番目を確認してください。 宅配ボックスや照明のLED化といった改良工事が、修繕と混ざって計上されていることがあります。

必要な工事と、あったほうが良い工事は、分けて判断すべきものです。

管理会社に任せる場合に起きやすいこと
  • 1社の提案のみで、比較の材料がない
  • 委託契約の範囲が曖昧で、別途の請求が発生した
  • 元請と施工者の関係が示されず、費用の構造が見えない
  • 修繕と改良が混在し、必要性の判断ができない
  • 断りにくさから、実質的に選択肢がない状態になった

5番目が、最も避けたい状態です。

選択肢がある状態を作ることが、理事の役割です。そのうえで管理会社を選ぶのであれば、それは正当な判断です。

判断を記録する

工事の後、住民から「なぜ管理会社なのか」と聞かれます。

  • 何社を比較したか
  • 管理会社の提案の、どこが優れていたか
  • 金額の差と、その理由

この3点があれば、説明できます。 記録がなければ、「言われるままに決めた」と受け取られます。

※ 本記事は一般的な整理です。委託契約の内容は組合によって変わります。

中立の立場から、複数社の比較をお手伝いします

大規模修繕laboは、発注者と施工会社をつなぐ窓口です。ご相談は無料です。

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
管理委託契約管理組合が管理会社に業務を委託する契約。
元請発注者から直接工事を請け負う会社。
利益相反一方の利益が、他方の不利益になる関係にあること。
責任施工方式施工会社が調査・設計・施工をまとめて担う発注方式。
改良(グレードアップ)元の性能を超える状態にする工事。修繕とは区別される。
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