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会社選びと発注方式 約3分で読めます

相見積もりの取り方——条件を揃える

比較できるかどうかは、依頼した時点で決まっている

相見積もりの取り方——条件を揃える

1社の見積だけで判断するのは難しい。 ここまでは、多くの理事が納得します。

問題は、複数社から取ったのに比較できないという状態です。金額はばらばら、項目の分け方も違う。並べても、どちらが妥当なのか分からない。

比較の成否は、依頼した時点で決まっています。

全社に、同じものを渡す

ここが最も重要です。 渡す資料が違えば、前提の違う見積が返ってきます。

渡すもの なぜ必要か
建物の図面 面積や形状の前提を揃える
建物診断の結果 劣化の状況と、補修の必要量の前提を揃える
工事の範囲を示した書面 どこまで行うかを揃える
数量の拾い方の指定 単位と区分を揃える
提出の様式 項目の並びを揃える

5番目が効きます。 見積書の様式をこちらから指定すると、比較が一気に楽になります。項目の並びが同じであれば、横に並べて差を見られます。

設計監理方式では、設計図書がこの役割を果たします。 責任施工方式では、組合の側で共通の条件を作る必要があります。

「一式」で出さないよう、依頼の時点で伝えてください

「数量・単位・単価を記載してください」と最初に書いておく。

後から分解を依頼するより、はるかに手間が減ります。

何社に依頼するか

3社程度が目安です。 2社では判断の基準が作れず、多すぎると比較と対応の負担が大きくなります。

大規模修繕では、各社が現地調査を行います。 社数だけ立ち会いの日程が必要になるため、委員会の負担も考慮してください。

選定の母数をどう作るかも論点です。

  • 管理会社からの紹介
  • 設計コンサルタントからの紹介
  • 組合が独自に探す
  • 仲介する窓口を使う

1社だけの紹介経路に依存すると、実質的に選択肢が絞られます。 経路を分けておくと、比較の意味が出ます。

選定の過程を、住民に説明できる形にする

過程が説明できないと、後で問われる

理事にとって、金額の妥当性と同じくらい重要なのが、この点です。

工事が終わった後、「なぜあの会社になったのか」を必ず聞かれます。そのとき、説明できる記録が要ります。

  • 何社に依頼したか
  • どういう基準で選んだか
  • 各社の見積を、どう比較したか
  • なぜその会社を選んだか

「最も安かったから」だけでは、説明として弱くなります。 安い理由が範囲の狭さだった場合、後から追加が出て、結果的に高くなることがあります。

比較表を作り、議事録とともに残してください。 これが、後の説明の材料になります。

比較の手順

1. 工事の範囲が、全社で一致しているかを確認する2. 数量の拾い方に、大きな差がないかを確認する3. 共通仮設費・諸経費の計上方法を揃える4. そのうえで、項目ごとに金額を並べる5. 差が大きい項目について、各社に理由を聞く

5番目をやってください。 差そのものより、その理由の説明が判断材料になります。

「その工法は不要だと判断した」「この部位は数量を多めに見た」。根拠のある差は、納得できます。 根拠を説明できない差は、そこに疑問が残ります。

価格以外に見るもの

同じ条件で揃えたうえで、次を見てください。

  • 現地調査を、どれだけ丁寧に行ったか
  • 質問への回答が、具体的か
  • 工程と住民への配慮を、どう説明したか
  • 工事中の窓口と体制が明確か
  • アフターの内容が書面で示されているか

3番目は、大規模修繕に固有の観点です。 住民が住んだまま工事が進むため、説明と配慮の姿勢が、そのまま工事中の苦情の量に影響します。

断りの連絡

選ばなかった会社にも、連絡してください。

現地調査と見積の作成に、相応の時間をかけてもらっています。曖昧なまま連絡を絶つのは、望ましくありません。

理由を詳しく説明する必要はありません。「他社に決定しました」で十分です。

この連絡が負担であれば、代行を頼むこともできます。 理事の負担を減らす部分として、検討する余地があります。

総会に向けて

比較の結果を、総会の資料にまとめてください。

  • 依頼した会社と、その経路
  • 各社の見積の概要(範囲、金額、特徴)
  • 選定の基準
  • 選んだ理由

この4点があれば、議案の説明ができます。 そして、反対意見が出たときの答えにもなります。

※ 本記事は一般的な整理です。適切な進め方は建物の条件と組合の体制によって変わります。

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
相見積もり複数の会社から見積を取り、比較すること。
設計図書工事の内容を示す図面と仕様書。見積の共通の前提になる。
建物診断建物の劣化の状況を調べる調査。
共通仮設費現場事務所、仮設設備など、工事全体に共通してかかる仮設の費用。
数量拾い図面や現地から、工事の量を算出すること。
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