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会社選びと発注方式 約4分で読めます

設計コンサルタントの選び方と、注意すべき構造

報酬が安すぎる場合、収入源が別にある

設計コンサルタントの選び方と、注意すべき構造

設計監理方式を選ぶと、設計コンサルタントを選定することになります。

このコンサルタントは、管理組合の側に立つ第三者という前提で入ります。設計を行い、施工会社の選定を助け、工事を監理する。

その前提が崩れている場合があることを、国土交通省が指摘しています。

国土交通省が指摘している問題

国土交通省は平成29年1月に通知を発出し、「発注者たる管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントの存在」について注意喚起を行い、相談窓口を周知しています。

そして、この問題への対応として実施されたのが、「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」です。

構造はこうです。

管理組合はコンサルタントに報酬を払います。しかし、コンサルタントが施工会社から別の形で利益を受けている場合、施工会社の側を向くことになります。

  • 特定の施工会社が受注するよう、選定の過程が誘導される
  • 設計の仕様が、特定の会社に有利な内容になる
  • 監理が形式的になり、実質的なチェックが働かない

管理組合から見ると、第三者に頼んだつもりが、そうではなかったという状態です。

報酬が安すぎる場合を疑う

最も分かりやすい兆候がこれです。

コンサルタント業務には、相応の業務量が必要です。調査、設計、施工会社の選定支援、そして工事監理。

本来かかる業務量に見合わない報酬で受注しているなら、別に収入源がある可能性があります。

「他社より格段に安い」という提案には、理由を確認してください。

国土交通省の実態調査に、業務量のデータがあります

設計コンサルタント業務の業務内訳と業務量が整理されており、戸数規模別の集計もあります。

自分と同規模のマンション群のデータと比べることで、相対的な位置づけを確認できます。

工事監理の業務量を見る

実態調査では、特に工事監理の業務量に着目する観点が示されています。

監理は、本来は業務量の多くを占める部分です。

  • 工事が設計図書のとおりに行われているかの確認
  • 施工の各段階での立会い
  • 数量の確認
  • 報告

ここが極端に少ない見積は、監理が実質的に行われない可能性を示します。

そして、監理が働かなければ、設計監理方式を選んだ意味が大きく減ります。 費用をかけて第三者を入れる目的は、まさにここにあるためです。

選定の方法

複数から選ぶ、という手順を踏む

コンサルタントも、複数から選んでください。

1社の提案しか見なければ、それが基準になります。 施工会社の選定で複数社を比較するのと、同じ理屈です。

比較する観点

観点 見る点
業務の範囲 調査・設計・選定支援・監理のどこまでを含むか
業務量 特に工事監理に、どれだけの時間を充てるか
報酬 業務量に見合っているか
実績と体制 誰が担当するのか、資格は何か
独立性 施工会社との関係をどう説明するか

5番目を、直接聞いてください。 「特定の施工会社との資本関係や、継続的な取引はありますか」と。

答えられない、あるいは曖昧にする場合、そこに疑問が残ります。

契約で確認すること

  • 業務の範囲(どこまでを行うか)
  • 工事監理の頻度と方法(何回、何を確認するか)
  • 報告の方法(誰に、どの形で報告するか)
  • 施工会社の選定に、どう関与するか
  • 利益相反に関する取り決め

2番目と3番目が実務上、最も効きます。

「監理します」だけでは、何をするのか分かりません。 立会いの回数、確認する項目、報告書の提出。具体的に定めてください。

そして、報告は理事会・委員会に直接行われる形にしてください。 施工会社を経由すると、独立性が損なわれます。

施工会社の選定への関与

コンサルタントは、施工会社の選定を助ける立場です。

ただし、決めるのは管理組合です。

  • 選定の基準を、管理組合が決める
  • 各社の評価を、根拠とともに示してもらう
  • 最終的な判断は、理事会・総会で行う

「この会社が良いです」という提案をそのまま受けないでください。 なぜその会社なのか、他社と何が違うのかを説明してもらってください。

説明できない推薦は、根拠が薄い可能性があります。

それでも設計監理方式が有効な場合

問題があるから避けるべき、という話ではありません。

  • 共通の仕様で見積を比較できる
  • 工事中の監理が独立している
  • 専門的な判断を委ねられる

これらは、責任施工方式では得にくい利点です。

必要なのは、コンサルタントの選定を丁寧に行うことです。ここを省くと、費用をかけて第三者を入れた意味がなくなります。

コンサルタント選定で起きやすいこと
  • 1社の提案のみで決めた
  • 報酬の安さだけで選んだ
  • 業務範囲と監理の内容が、契約に明記されていない
  • 施工会社との関係を確認していない
  • 推薦された施工会社を、そのまま採用した

※ 本記事は公表資料をもとにした一般的な整理です。

出典:国土交通省「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」(平成29年1月)/国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
設計コンサルタント大規模修繕の調査・設計・工事監理を行う専門家。
設計監理方式設計コンサルタントが設計と監理を行い、施工を別会社が担う方式。
工事監理工事が設計図書のとおりに行われているかを確認する業務。
設計図書工事の内容を示す図面と仕様書。
利益相反一方の利益が、他方の不利益になる関係にあること。
業務量業務に要する人と時間の量。
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