外壁のパネルの継ぎ目、サッシのまわり。そこに詰められているゴム状の材料が、シーリングです。コーキングとも呼ばれます。
住民から見て、最も地味な工事です。見た目がきれいになるわけでもありません。
しかし、ここが切れると水が入ります。
何のためにあるか
シーリングには、2つの役割があります。
- 水を止める — 継ぎ目から雨水が入るのを防ぐ
- 動きを吸収する — 建物の伸縮や揺れを、目地で受ける
2番目が重要です。 建物は、温度の変化や地震で動きます。その動きを、硬い材料では受けられません。
だからシーリングは柔らかいゴム状で、動きに追従します。
そして、その柔らかさが経年で失われます。
劣化のサイン
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| ひび割れが入っている | 硬化が進んでいる |
| 痩せて、目地に隙間ができている | 体積が減っている |
| 目地から剥離している | 接着が切れている |
| 触ると硬い、弾力がない | 動きに追従できない |
| 一部が欠落している | 水が入る状態 |
3番目と5番目が出ていれば、水が入る経路ができています。
サッシまわりのシーリングが切れると、雨のときに窓際が濡れるという形で現れます。住戸内の漏水として気づくことがあります。
打ち替えと増し打ち
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 打ち替え | 既存のシーリングを撤去し、新しく充填する |
| 増し打ち | 既存を残したまま、上から重ねて充填する |
基本は打ち替えです。 劣化した材料を残したままでは、その部分の性能は戻りません。
増し打ちが選ばれるのは、撤去できない場所です。
- サッシまわりで、撤去すると防水層を傷める可能性がある
- 撤去が構造上難しい部位
- 既存が健全で、厚みだけを補う場合
「安いから増し打ち」という選び方は、適切ではありません。 部位ごとに、どちらを行うかが決まります。
見積で、打ち替えと増し打ちの区分と数量を確認してください。 すべて増し打ちになっている見積があれば、理由を聞いてください。
材料の種類
シーリング材にはいくつかの種類があり、部位と、上に塗装するかどうかで選びます。
- 上に塗装する部位 — 塗料との相性が良いものを選ぶ
- 塗装しない部位(サッシまわりなど) — 耐候性の高いものを選ぶ
塗装との相性が重要です。 相性の悪い組み合わせでは、塗料が汚れたり、密着しなかったりすることがあります。
材料の製品名が見積に記載されているかを確認してください。 「シーリング工事 一式」では、何を使うのか分かりません。
数量は、目地の総延長で決まる
シーリングの数量は、目地の長さの合計です。
- 外壁パネルの継ぎ目
- サッシまわり
- 手すりの取り合い
- 設備の貫通部
建物の形状で決まるため、見積の段階で確定します。 下地補修のように、あとから大きく増える項目ではありません。
各社で数量に差がある場合、どこまでを対象にしているかが違います。 範囲を確認してください。
工事中の影響
臭気が出ることがあります。 材料の種類によりますが、撤去と充填の作業時に匂いを感じる住戸があります。
窓を開けられない日が出ます。 サッシまわりの作業中は、養生されるため開閉できません。
どの住戸が、いつ該当するかを事前に通知してください。在宅の予定に関わります。
保証との関係
シーリングは、漏水に直結する部位です。
- 保証の対象に含まれているか
- 期間はどれくらいか
- 漏水が発生した場合の対応の手順
引渡し後に窓際が濡れたとき、原因がシーリングなのか、他の部位なのかの切り分けが必要になります。 記録を残しておいてください。
- 打ち替えと増し打ちの区分が曖昧なまま契約した
- 材料の種類が指定されておらず、塗装との相性で問題が出た
- 撤去が不十分で、新しい材料が接着しなかった
- 数量の範囲が各社で違い、比較にならなかった
- 工事後に窓際で漏水したが、原因の切り分けができない
3番目は、外からは確認できません。 既存の撤去が十分かどうかは、施工中でなければ見えない部分です。
工事中の写真を、記録として残してもらってください。 各工程の施工状況が記録されていれば、後の確認に使えます。
※ 本記事は一般的な整理です。適した工法と材料は建物の条件によって変わります。
付録:本記事で使用した専門用語一覧
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| シーリング | 目地や隙間を埋める材料。コーキングとも呼ばれる。 |
| 打ち替え | 既存のシーリングを撤去し、新しく充填する工法。 |
| 増し打ち | 既存を残したまま、上から重ねて充填する工法。 |
| 目地 | 部材と部材の継ぎ目。 |
| バックアップ材 | 目地の奥に入れる、シーリングの厚みを調整する材料。 |
| 耐候性 | 日射や風雨に対する耐久性。 |