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工事の中身 約4分で読めます

給排水管の更新をどう考えるか

住戸の中に入る工事は、合意形成が最も重い

給排水管の更新をどう考えるか

外壁や防水は、劣化が目に見えます。配管は見えません。

そして、問題が表面化するのは漏水が起きたときです。それは階下への被害という形で現れます。

そのうえ、この工事は住戸の中に入ります。 大規模修繕の中で、最も合意形成が難しい工事です。

共用部と専有部の線引き

ここが最初の論点です。

部分 一般的な扱い
縦管(各階を貫く共用の管) 共用部
住戸内の枝管 管理規約による。専有部とされることが多い
パイプスペース内の管 共用部とされることが多い

管理規約に定めがあります。 必ず確認してください。

問題は、共用部だけを更新しても、専有部の管が古いまま残るという点です。

  • 更新した部分と、していない部分がつながる
  • 古い枝管から漏水が起きれば、階下に被害が出る
  • 個別に工事すると、そのつど住戸に立ち入ることになる

そのため、専有部も含めて一体で工事するかどうかが、大きな判断になります。

更新と更生

方法 内容
更新 既存の管を撤去し、新しい管に取り替える
更生(ライニング) 既存の管の内側を清掃し、樹脂などで被膜を作る

更新は、根本的な解決です。 新しい管になるため、その後の期間が長くなります。ただし、壁や天井を壊す範囲が広くなります。

更生は、工事の規模が小さくなります。 既存の管を使うため、解体の範囲が限られます。ただし、管そのものは古いままです。

どちらが適しているかは、管の材質と劣化の状態によります。 更生ができない状態まで進んでいる場合もあります。

調査の結果にもとづいて判断してください。 内視鏡や抜管による調査で、内部の状態を確認できます。

住戸に立ち入る工事の難しさ

各住戸の在宅が要る

これが、この工事の最大の課題です。

  • 全戸で、作業日に在宅してもらう必要がある
  • 水が使えない時間帯が発生する
  • 壁や天井を壊し、復旧する
  • 家具の移動が必要になる
  • 賃貸に出している住戸では、入居者の協力が要る

5番目が特に難しい部分です。 区分所有者が合意しても、実際に住んでいるのは賃借人です。連絡と調整が二重になります。

空室、長期不在、連絡が取れない住戸があると、そこだけ工事ができません。

この調整に、相当な時間がかかります。 工事そのものより、日程の調整のほうが難しいことがあります。

早い段階で、全戸の状況を把握してください

賃貸に出している住戸がどれだけあるか、連絡が取れる状態か。

アンケートや管理組合の名簿で、事前に確認しておくと計画が立てやすくなります。

大規模修繕と同時に行うか

判断が分かれる部分です。

同時に行う 別に行う
住民の負担 一度で済む 二度の工事に耐える
費用 諸経費を共有できる それぞれにかかる
工期 長くなる 分散する
合意形成 議案が複雑になる それぞれで議論できる
資金 一度に大きな額が要る 分散できる

4番目に注意してください。 外壁の工事と配管の工事を1つの議案にすると、どちらかへの反対が、両方を止めます。

分けて議案にするという設計もあります。 ただし、その場合は総会が2回に分かれる可能性があります。

共通するのは、足場とは無関係だという点です。 配管の工事に足場は要りません。したがって「足場があるうちに」という理由では、同時に行う必然性はありません。

長期修繕計画での位置づけ

配管の更新は、金額の大きい項目です。

長期修繕計画に含まれているかを確認してください。含まれていない場合、その分の資金が計画されていないことになります。

  • 計画に、給排水設備の更新が入っているか
  • 想定されている時期はいつか
  • 想定されている金額はいくらか

2回目・3回目の大規模修繕の時期に、この項目が出てきます。 1回目は外壁中心でも、回を重ねるごとに設備の更新が加わります。

計画の見直しのときに、この点を確認してください。

先送りしたときのリスク

配管を放置すると起きること
  • 漏水が発生し、階下の住戸に被害が出る
  • 被害の補償をめぐって、責任の所在が問題になる
  • 赤水や水圧の低下といった、日常の不具合が出る
  • 排水の詰まりが頻発する
  • 更生では対応できない状態まで進行する

1番目と2番目は、住民同士の問題になります。

漏水の原因が共用部の管であれば管理組合の責任、専有部の管であれば区分所有者の責任、という形で切り分けが必要になります。その判断自体が争いになることがあります。

保険の適用も論点になります。 管理組合が加入している保険の内容を、事前に確認しておいてください。

※ 本記事は一般的な整理です。共用部と専有部の区分は管理規約によって変わります。適した工法は管の状態によって判断されます。

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
縦管建物の各階を貫いて通る、共用の配管。
枝管縦管から各住戸へ分岐する配管。
更新既存の管を撤去し、新しい管に取り替えること。
更生(ライニング)既存の管の内面に被膜を作り、再生させる工法。
パイプスペース建物の配管を通すために設けられた縦方向の空間。
赤水配管の錆により、水が赤茶色になる現象。
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