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工事の中身 約4分で読めます

工事の品質を、どう確認するか

見えなくなる工程は、その時にしか確認できない

工事の品質を、どう確認するか

理事は、建築の専門家ではありません。 現場を見ても、施工が適切かどうかは判断できません。

それでも、確認できることがあります。

鍵になるのは、「後から見えなくなる工程」を、その時に記録しておくことです。

見えなくなる工程

大規模修繕の品質は、仕上げの下で決まります。

工程 仕上げ後の確認
下地補修 できない(塗装で覆われる)
シーリングの既存撤去 できない(新しい材料が入る)
高圧洗浄の程度 できない
下塗りの回数と厚み できない
防水層の下地処理 できない
ケレン(鉄部の錆落とし) できない

すべて、その工程の最中にしか確認できません。

そして、これらが省かれても、完成した直後の見た目は変わりません。 差が出るのは数年後です。

だから、記録が必要になります。

記録写真を、契約で義務づける

最も実務的な対策です。

契約の段階で、次を求めてください。

  • 各工程の施工前・施工中・施工後の写真
  • 撮影の箇所と枚数の目安
  • 提出の時期と形式
  • 数量の根拠となる記録

工事が始まってから求めるより、契約に入れておくほうが確実です。

写真は、後から撮り直せません

下地補修の状況、シーリングの撤去後、下塗りの状態。

仕上げてしまえば、確認する手段がなくなります。

そして、この記録は次回の修繕でも使えます。 前回どこをどう補修したかが分かれば、今回の劣化の進行が判断できます。

立会いのタイミング

すべての工程に立ち会う必要はありません。 理事にその時間はありません。

節目を選んでください。

タイミング 確認すること
着工前 工程の説明、養生の状況、掲示
足場の設置後 全体の状況、安全対策
下地補修の完了時 補修の範囲、数量の確認
各工程の切り替え時 前工程の完了状況
完了時 全体の仕上がり

3番目が最も重要です。 下地補修の数量は追加費用に直結し、補修してしまえば元の状態は確認できません。

専門的な判断ができなくても、「立ち会っている」という事実に意味があります。 記録を残すという姿勢が、現場に伝わります。

監理者がいる場合

設計監理方式であれば、監理者が確認します。

理事が確認すべきなのは、監理が実際に行われているかです。

  • 監理の報告が、定期的に届いているか
  • 報告の内容が、具体的か
  • 立会いの回数が、契約どおりか
  • 指摘があった場合、どう対応されたか

報告書が形式的で、毎回同じ内容であれば、注意が必要です。

そして、報告は理事会・委員会に直接届く形にしてください。 施工会社を経由すると、独立性が損なわれます。

監理者がいない場合

確認する仕組みを、自分たちで作る

責任施工方式では、第三者の監理がありません。

その分を、次で補ってください。

1. 記録写真の提出を、契約で義務づける2. 各工程の完了時に、報告を受ける3. 委員会のメンバーが、交代で現場を見る4. 住民からの気づきを、集める仕組みを作る5. 必要に応じて、第三者に部分的な確認を依頼する

4番目が有効です。 住民は毎日その建物にいます。理事より多くのことに気づきます。

「バルコニーの作業が雑だった」「この部分だけ塗り残しがある」。こうした情報を受ける窓口を作ってください。

5番目も検討の余地があります。 全期間の監理を依頼しなくても、重要な工程だけ第三者に見てもらうという方法があります。

完了検査で確認すること

工事の最後に、確認の場を設けてください。

  • 図面どおりの範囲で仕上がっているか
  • 仕上がりに、傷や汚れ、塗り残しがないか
  • 設備が正常に動くか
  • 工事で外した部材が、元に戻っているか
  • 記録写真と報告書を受け取ったか
  • 保証書と取扱説明書を受け取ったか

4番目を忘れないでください。 面格子、手すり、掲示板。外したまま戻っていないことがあります。

そして、住民にも確認の機会を作ってください。 共用廊下や階段、バルコニー。実際に使う人が気づくことがあります。

手直しの合意

気づいた点は、その場で伝えてください。

そして、次の3点を決めてください。

  • 何を、どこまで直すか
  • いつまでに直すか
  • 再度の確認をどうするか

曖昧なまま解散すると、進まなくなります。

ただし、軽微な手直しを理由に支払い全体を止めるのは適切ではありません。 範囲と期限を合意したうえで支払う、という形が現実的です。

品質の確認で起きやすいこと
  • 記録写真を求めず、後から確認できない
  • 下地補修の完了時に、数量を確認していない
  • 監理の報告が形式的で、内容が確認できていない
  • 完了検査を、施工会社の説明だけで済ませた
  • 手直しの期限を決めず、対応が遅れた

1番目が、最も取り返しがつきません。 契約の段階でしか手を打てない項目です。

※ 本記事は一般的な整理です。確認の方法は工事の内容と体制によって変わります。

中立の立場から、複数社の比較をお手伝いします

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
下地補修仕上げの下にあるコンクリートのひび割れや欠損を直す工事。
ケレン塗装の前に、錆や劣化した塗膜を除去する作業。
工事監理工事が設計図書のとおりに行われているかを確認する業務。
設計監理方式設計コンサルタントが設計と監理を行い、施工を別会社が担う方式。
責任施工方式施工会社が調査・設計・施工をまとめて担う発注方式。
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