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工事中と工事後 約4分で読めます

追加工事を求められたときの判断

現場で決めない。誰が決めるかを先に決めておく

追加工事を求められたときの判断

工事が始まってから、追加の作業を求められる場面があります。

求める側は3つに分かれます。施工会社、住民、そして理事自身です。

共通しているのは、その場で判断を迫られるという点です。そして、管理組合はその場で決められる立場にありません。

3つの発生源

発生源 内容
施工会社からの提案 開けてみたら劣化が進んでいた、この機会にやるべき
住民からの要望 ついでにここも、うちのバルコニーも
理事・委員会の判断 検討中に、やはり必要だと考えた

それぞれ、扱いが違います。

① 施工会社からの提案

必要性がある場合が多く、最も判断が難しい部分です。

「足場があるうちにやったほうがよい」という提案は、構造としては正しいことがあります。次回また足場を組むより合理的だからです。

ただし、確認すべきことがあります。

  • なぜ必要なのか、根拠は何か
  • 写真などの記録があるか
  • 金額の根拠(契約時の単価が使われているか)
  • 工期への影響
  • 今回やらない場合、どうなるのか

5番目を必ず聞いてください。 「次回でも問題ない」のか、「今やらないと悪化する」のか。この違いで判断が変わります。

そして、その場で即答しないでください。 書面で報告を受け、理事会で判断する。この手順を、契約の段階で決めておいてください。

② 住民からの要望

現場で職人に直接頼まれる形が、最も危ない

最も注意が必要なのが、この形です。

工事中、住民が現場の職人に直接依頼するということが起こります。

  • 「ついでにうちのバルコニーも」
  • 「この手すりも塗ってもらえないか」
  • 「ここも直してほしい」

職人は、目の前で頼まれると断りにくい立場です。そして作業してしまうと、その費用がどこかに乗ります。

さらに問題なのは、公平性です。

一部の住民の要望だけが通ると、他の住民から「なぜあの人だけ」という話になります。 費用は全員の積立金から出ています。

対策

1. 工事の前に、住民へ周知する(現場への直接依頼はしないこと)2. 要望の窓口を、理事会または管理会社に一本化する3. 施工会社にも、直接依頼を受けないよう伝えておく4. 契約に、追加は組合の承認を経てから着手する旨を入れる

3番目を、契約の段階で伝えてください。 職人が断る根拠になります。

③ 専有部の要望をどう扱うか

住戸内の工事は、原則として組合の費用では行いません。

  • バルコニーの床(専用使用部分)の扱い
  • 玄関扉の内側
  • 住戸内の設備

管理規約で、どこまでが共用部かを確認してください。

個人負担で同時に施工するという選択肢はあり得ます。足場があるうちに行えば、個人にとっても効率的です。

ただし、その場合は費用の負担と手続きを明確にしてください。

  • 誰が発注するのか(組合か、個人か)
  • 費用を誰が払うのか
  • 不具合が出た場合、誰が対応するのか
  • 他の住民にも、同じ機会を案内するか

4番目が重要です。 一部の住民だけに案内すると、不公平の問題になります。

承認の手順を、先に決める

工事中に総会は開けません。 そのため、誰がどこまで承認できるかを事前に決めておく必要があります。

金額の規模 承認
少額 理事長または担当理事が判断し、理事会に報告
中程度 理事会で判断
大きい 臨時総会

この区分を、総会の議案に含めてください。 「工事に伴う変更は、一定の範囲内で理事会に一任する」という形です。

範囲を金額で示すと明確になります。 曖昧だと、後から「理事会が勝手に決めた」と言われます。

記録する

受けた場合も、断った場合も、記録してください。

  • いつ、誰から、どんな要望があったか
  • どう判断したか
  • その理由

断った要望こそ、記録が要ります。 後から「あのとき言ったのに」と言われたとき、検討して判断した記録があれば答えられます。

追加工事で起きやすいこと
  • 現場で職人に直接依頼され、そのまま作業された
  • 一部の住民の要望だけが通り、不公平の問題になった
  • 承認の権限が曖昧で、誰が決めたか分からない
  • 口頭で合意し、後から請求が来た
  • 断った要望の記録がなく、後で蒸し返された

1番目を防ぐには、工事前の周知しかありません。 始まってから伝えても遅くなります。

断り方

すべての要望を受ける必要はありません。

  • 「共用部の工事の範囲外です」
  • 「個人のご負担であれば、施工会社にお取り次ぎできます」
  • 「一度、理事会で検討します」

3番目が最も無難です。 その場で断らず、手順に乗せる。判断を持ち帰ることは、逃げではありません。

※ 本記事は一般的な整理です。共用部と専有部の区分は管理規約によって変わります。

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
追加工事当初の契約範囲に含まれない工事。
専用使用部分共用部でありながら、特定の住戸が独占的に使用できる部分。
臨時総会必要に応じて、通常総会とは別に開催される集会。
指示系統誰の指示で作業を行うかという経路。
管理規約管理組合の基本的なルールを定めたもの。
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