工事が完了し、足場が外れた。そこで終わりではありません。
大規模修繕は、完成してからのほうが期間が長くなります。 次の修繕まで、10年以上あります。
その間に、不具合が出ることがあります。
保証と、契約不適合責任
この2つは、別のものです。
| 内容 | |
|---|---|
| 契約不適合責任 | 引き渡されたものが契約の内容に適合しない場合の、法律上の責任 |
| 保証 | 契約で定める、施工会社の自主的な保証 |
保証は、契約で決まります。 部位ごとに期間が違うのが通常です。
契約不適合責任は、法律にもとづくものです。 ただし、責任を追及できる期間には定めがあります。
契約書で、両方を確認してください。 保証の対象・期間・除外される事由、そして責任の期間について。
定期点検を受ける
契約に、点検の予定が含まれているかを確認してください。
- 何年後に、何回行うか
- 何を見るか
- 報告書は出るか
- 費用はかかるか
点検の案内が来たら、必ず受けてください。
そして、点検の記録を保管してください。 これが、次の修繕を検討するときの資料になります。
点検が予定されていない場合、組合として確認する仕組みを作ってください。
自分たちでできる確認
専門知識がなくても、確認できることがあります。
| 見る場所 | 確認すること |
|---|---|
| 外壁 | 新しいひび割れ、塗膜の剥がれ、色むら |
| シーリング | ひび、剥離、隙間 |
| 屋上・バルコニー | 水たまり、防水層の膨れ、排水口の詰まり |
| 鉄部 | 錆の再発 |
| 共用廊下・階段 | 床の浮き、滑りやすさ |
| 住戸内 | 漏水の兆候(天井、窓際、壁のシミ) |
3番目の排水口は、清掃だけで状態が変わります。 年に数回、確認してください。
6番目は、住民からの報告が頼りです。 「窓際が濡れる」「天井にシミがある」。報告を受ける窓口を、周知してください。
そして、写真と日付を記録してください。 進行しているかどうかが、判断の材料になります。
不具合が出たときの手順
1. 状態を記録する(写真、日付、場所)2. いつから起きているかを確認する3. 施工会社に連絡する4. 現地を確認してもらう5. 原因と対応を、書面で受け取る6. 対応の完了を確認し、記録する
2番目が、判断を左右します。
完成直後からあったのか、時間が経ってから出たのか。この違いで、原因の見当がつきます。
5番目を書面で求めてください。 口頭の説明だけだと、後から確認できません。
原因の切り分け
保証の対象になるかは、原因によって変わります。
| 原因 | 扱い |
|---|---|
| 施工に起因するもの | 保証または責任の対象になり得る |
| 経年による変化 | 通常は対象外 |
| 使い方によるもの | 通常は対象外 |
| 天災によるもの | 通常は対象外(保険の対象になることがある) |
境目が曖昧なものが多くあります。
「経年にしては早すぎる」という状態は、施工の問題である可能性があります。 迷ったら相談してください。
そして、記録が判断を助けます。 工事中の記録写真があれば、その部位がどう施工されたかを確認できます。
これが、工事中の記録写真の提出を契約で義務づけるべき理由のひとつです。
早く連絡する
「もう少し様子を見よう」と待たないでください。
- 進行して、範囲が広がる
- 保証の期間が過ぎる
- 原因の特定が難しくなる
- 「使い方の問題」と判断されやすくなる
特に漏水は、放置すると内部の劣化が進みます。
そして、保証の期間には限りがあります。 気づいた時点で連絡してください。
対応してもらえない場合
施工会社が対応しない、連絡が取れないという状況があり得ます。
- 契約書と保証書を確認する
- 書面で申し入れる(記録に残す)
- 管理会社や、間に入った窓口に相談する
- 消費者に関する相談窓口や、専門家に相談する
2番目を必ず行ってください。 電話だけのやりとりでは、申し入れた事実が残りません。
そして、施工会社が存続していない場合、保証は機能しません。
製品については、メーカーの保証が別に残っていることがあります。保証書を確認してください。
保険の確認
管理組合が加入している保険の内容を、確認しておいてください。
- 建物に生じた損害
- 漏水による住戸内の被害
- 第三者への賠償
天災による損傷は、施工の保証の対象外ですが、保険の対象になることがあります。
不具合が出たときに慌てて調べるより、事前に把握しておくほうが対応が早くなります。
記録は、次の理事へ
アフターの記録も、引き継ぎの対象です。
- 点検の結果
- 出た不具合と、その対応
- 保証の期間と、残りの年数
- 連絡先
理事は交代します。 引き継がれていないと、保証が使えるのに使わないという事態が起こります。
- 点検の案内が来たが、受けなかった
- 不具合に気づいたが、様子を見ているうちに保証の期間が過ぎた
- 口頭で申し入れ、記録が残っていない
- 保証書の保管場所が分からなくなった
- 理事の交代で、保証の存在自体が引き継がれなかった
5番目が、実際によく起きます。 保証書と契約書の保管場所を、引き継ぎ書に明記してください。
※ 本記事は一般的な整理であり、個別の法的判断を示すものではありません。争いが生じた場合は、専門家にご相談ください。
大規模修繕LaBoは、建築士による建物診断から、自社職人による施工・検査・アフターまで一貫して行う大規模修繕サービスです。他社のお見積書の確認もお気軽にご相談ください。現地調査・お見積りは無料です(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)。
付録:本記事で使用した専門用語一覧
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| 契約不適合責任 | 引き渡されたものが契約の内容に適合しない場合の責任。 |
| 保証 | 契約で定める、施工会社の自主的な保証。 |
| 定期点検 | 引渡し後、一定の時期に行う点検。 |
| メーカー保証 | 製品そのものの不具合について、製造した会社が対応する保証。 |
| ドレン | 屋上やバルコニーの排水口。 |