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大規模修繕の基本 約7分で読めます

長期修繕計画の見直しはいつ?|5年ごとの見直しと、見直す範囲

「5年程度ごと」は目安。決めておくのは、次の見直しをいつ始めるか

長期修繕計画の見直しはいつ?|5年ごとの見直しと、見直す範囲

この記事の結論

  • 国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインは、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果にもとづいて計画を見直すことを求めています。見直しには、おおむね1〜2年かかるとされています。
  • 見直しの時期は、大規模修繕と大規模修繕の中間、工事の直前、工事の直後の3つが示されています。見直すのは工事項目・修繕周期・単価・収支と、修繕積立金の額です。
  • 見直した計画は総会で決議します。前回の見直しの年月と、次の見直しを始める時期を、議事録と引き継ぎ書に書いておきます。

理事になって長期修繕計画を開くと、表紙の作成日が何年も前の日付になっていることがあります。いつ見直すのが正しいのか、そして見直すとき、どこまで手を入れるのか。この記事は、この2つに絞って整理します。

計画の読み方と、見直しが必要になる理由は、長期修繕計画の読み方と見直しで扱っています。あわせてご覧ください。

ガイドラインが示す「5年程度ごと」

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」は、長期修繕計画には劣化の状況や工事費の変動など不確定な事項が含まれるため、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果にもとづいて見直すことが必要としています。あわせて、見直しには一定の期間(おおむね1〜2年)を要するため、見直しも計画的に行う必要があること、計画と一緒に修繕積立金の額も見直すことが書かれています。

(出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」令和6年6月改定、第3章第1節10、2026-10-22 確認)

見落としやすいのは、1〜2年のほうです。前回の見直しから5年目に新しい計画を総会にかけたいなら、検討は3年目か4年目に始めることになります。理事の任期が1〜2年の組合では、見直しを始める理事と、総会にかける理事が別の人になることを前提に段取りを組みます。

実際の運用はどうか。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、見直しの時期について次の結果が示されています。

見直しの時期 割合
5年ごとを目安に定期的に見直している 63.2%
修繕工事の実施直後に、工事の結果を踏まえて見直している 9.9%
修繕工事の実施直前に、工事計画の検討と併せて見直している 9.4%
見直しを行っていない 3.7%

(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」別紙2 結果概要、2024年6月公表、2026-10-22 確認)

見直しを行う3つの時期

ガイドラインのコメントは、見直しの時期を3つに分けて示しています。

時期 ねらい 使う調査・診断
大規模修繕と大規模修繕の中間 工事と切り離し、計画だけを点検する 目視などによる簡易な調査・診断
大規模修繕の直前 工事の基本計画の検討とあわせ、範囲と資金を詰める 工事のために行う詳細な調査・診断の結果
大規模修繕の直後 実際の工事内容と費用を計画に反映する 同上

(出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」第3章第1節10のコメント、2026-10-22 確認)

ガイドラインは、見直しの時期はおおよそ大規模修繕工事の直前または直後と、その中間程度になるとしています。

直後の見直しは省かれやすい時期です。 工事が終わると、理事会も修繕委員会も一区切りついた空気になります。ただ、実際にかかった金額と、施工中に見つかった劣化が最もはっきり分かるのは、この時点です。

見直す範囲

ガイドラインは、見直しの理由になる不確定な事項として4つを挙げています。これを、計画のどこに手を入れるかに置き換えると、次のようになります。

変わるもの 見直す箇所
建物・設備の劣化の状況 推定修繕工事項目、修繕周期(早める・遅らせる)
社会的環境・生活様式の変化 省エネ・バリアフリーなどの改良工事を加えるか
新しい材料・工法の開発 修繕周期、単価
運用益・金利・物価・工事費・消費税率 推定修繕工事費、収支計画

(出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」第3章第1節10、2026-10-22 確認)

これに加えて、計画期間を先へ延ばすことと、修繕積立金の額を設定し直すことが、見直しのたびに必要になります。

ガイドラインのコメントには、具体例として、新築後15年目以降の見直しでは、新築時の30年の計画で工事費を計上していなかった給排水管の取替えなどの計上が必要になる場合があると書かれています。そのときは計画期間の工事費が増えるため、修繕積立金の見直しも必要になります。

見直しの手順と、総会での決め方

ガイドラインのコメントは、見直しを単独で行う場合の手順の例を示しています。

段階 中身
発意 理事会などが見直しを提起する
検討 理事会・専門委員会で、見直す事項を整理する
総会決議 見直しの実施と、依頼する専門家を決める
依頼 専門家と業務委託契約を結ぶ
調査・診断 設計図書などの資料調査、現地調査、必要に応じて区分所有者へのアンケート
見直し 長期修繕計画と修繕積立金の額を見直す
説明会 総会の前に区分所有者へ説明する
総会決議 見直した計画と修繕積立金の額を決める
配付・保管 計画を総会議事録とあわせて配付し、保管する

(出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」第2章第2節1の参考、2026-10-22 確認)

国のひな形であるマンション標準管理規約では、長期修繕計画の作成又は変更は総会の決議事項(第48条第五号)で、その案は理事会が決議します(第54条第三号)。見直しの費用は、管理組合の財産状態に応じて管理費・修繕積立金のどちらからでも充当できるとコメントで説明されています(第32条関係コメント④)。自分の組合の管理規約が同じ定めになっているかを確かめてください。

(出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」2025年10月17日改正、2026-10-22 確認)

総会の決議の要件は、2026年4月施行の区分所有法の改正で変わっています。詳しくは総会の決議——2026年4月施行の改正で何が変わったかをご覧ください。

管理計画認定を受けるなら、期限がある

マンション管理適正化法の管理計画認定を受ける場合は、見直しの時期に期限があります。

申請日 長期修繕計画の作成・見直しの時期の基準
2027年3月31日まで 作成又は見直しが7年以内に行われていること
2027年4月1日以降 作成又は見直しが申請日前5年以内に行われていること(認定更新は、従前の認定日から更新申請日までの間)

(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」現行の認定基準、管理組合の管理者等が申請者となる場合の認定基準(R9.4.1〜)、2026-10-22 確認)

2027年4月以降の基準を定める省令と告示は、2026年7月31日に公布されています。認定を受けるかどうかは組合の判断ですが、5年以内という基準は、ガイドラインの「5年程度ごと」とも重なります。次の見直しの時期を決めるときの目安にできます。

記録に残すこと

見直しの時期は、理事が交代するたびに忘れられやすい事柄です。次のことを、議事録と引き継ぎ書に書いておきます。

  • 前回の見直しの年月と、依頼した専門家
  • 何を変えたか(工事項目、周期、単価、修繕積立金)と、その理由
  • 次の見直しを始める時期と、総会にかける予定の年度
  • 見直しを見送った場合は、見送った理由

見送った理由を残すことが大切です。 「工事の直後なので、中間の時期まで待つ」と書いてあれば、次の理事はその判断を引き継げます。何も書かれていなければ、見直されていない計画が残るだけです。

※ 本記事は、国土交通省の公表資料をもとに一般的な考え方をまとめたものです。見直しの時期と範囲は、建物の状態と管理規約によって変わります。

よくある質問

5年たっていなくても、見直したほうがよい場合はありますか

ガイドラインは、劣化の状況や、物価・工事費・消費税率などの変動を、見直しが必要になる理由に挙げています。大きな劣化が見つかった、工事費が大きく動いた、大規模修繕の検討を始める、といった場合は、5年を待たずに見直しを検討する材料になります。

見直しは、管理会社に任せてよいですか

任せること自体は問題ありません。ガイドラインは、見直しを受託した専門家に成果物の説明を求め、管理組合は標準様式を参考に内容をチェックできるとしています。任せる場合も、何を変えたのかの説明を受け、議事録に残してください。

見直した計画は、区分所有者に配る必要がありますか

ガイドラインは、総会の前に説明会などで内容を説明し、総会で決議したあと、議事録とあわせて計画を配付するなど、十分な周知が必要としています。標準管理規約では、理事長が長期修繕計画書を保管し、組合員などから理由を付した書面で請求があれば閲覧させることになっています(第64条第2項)。

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
長期修繕計画将来の修繕内容・時期・費用を見通した計画。
調査・診断建物と設備の劣化の状況を調べること。目視による簡易なものから、詳しく調べるものまで段階がある。
推定修繕工事費長期修繕計画で見込む、工事の概算の費用。
専門委員会理事会の下で、特定の課題を調査・検討する組織。修繕委員会もその一つ。
管理計画認定マンション管理適正化法にもとづき、管理計画が基準に合うと地方公共団体が認定する制度。
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