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進め方と合意形成 約7分で読めます

修繕委員会のメンバーが集まらない|人を集める方法と、少人数での回し方

「誰かいませんか」の前に、頼む仕事を小さく分ける

修繕委員会のメンバーが集まらない|人を集める方法と、少人数での回し方

この記事の結論

  • 国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、役員を「順番」で選んでいる管理組合が78.3%で、役員でない区分所有者のうち「快く引き受ける」と答えた人は11.7%でした。自分から手を挙げる人は少ない、という前提で集め方を考えます。
  • 募集の前に、委員会の仕事を「会議に出る」「資料をまとめる」「記録を取る」などに分け、期間の区切りと一緒に示します。委員にならない協力者の枠をつくるのも一つの方法です。
  • 少人数で進めるときは、理事会・管理会社・外部の専門家との分担を決め、募集の経過と分担の理由を議事録に残します。

大規模修繕の検討を始めようと修繕委員を募ったのに、応募がない。声をかけても「仕事が忙しくて」と断られる。理事会で委員会の設置を決めたあと、最初につまずきやすいのがこの場面です。

委員会の位置づけや役割は、修繕委員会の作り方と役割で整理しています。この記事は、人が集まらないときにどうするかに絞ります。

手を挙げる人が少ないのは、前提にしてよい

国土交通省の令和5年度マンション総合調査には、役員の選ばれ方と、役員を頼まれたときの受け止め方の結果があります。

調査の項目 主な結果
役員の選任の方法(管理組合向け、重複回答) 順番 78.3%、立候補 34.5%、推薦 16.8%、抽選 8.1%
役員就任への対応(現在役員でない区分所有者) 順番が回ってきたら引き受ける 67.2%、他になり手がいなかったらやむを得ず引き受ける 12.5%、快く引き受ける 11.7%、引き受けない 5.3%

(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」データ編 管理組合向け調査10⑧、区分所有者向け調査8①、2026-10-22 確認)

これは理事などの役員についての数字で、修繕委員を直接たずねた項目ではありません。それでも、頼まれ方によって引き受ける人が多いことは読み取れます。掲示板で一度募集して終わりにせず、頼み方を変えて何度か声をかける前提で計画します。

同じ調査では、「大規模修繕や長期修繕計画に関する委員会」を置いている管理組合は全体の34.8%で、専門委員会を設置していない組合は52.5%でした。設置の割合は、総戸数が20戸以下で17.6%、31〜50戸で26.6%、101〜150戸で49.1%、501戸以上で74.3%と、規模によって差があります。

(出典:同調査 データ編 管理組合向け調査12、2026-10-22 確認)

委員会を置かずに理事会で検討を進めている組合も多い、ということです。人が集まらないときは、委員会を置くかどうかから考え直してかまいません。

募集の前に、仕事を分ける

「修繕委員を募集します」とだけ書くと、何をどれだけするのかが見えず、断る理由が先に立ちます。まず、委員会の仕事を分けてみます。以下は分け方の一例です。

仕事 中身の例
会議に出る 検討の場で質問し、意見を言う
資料をまとめる 診断の報告書や提案書の要点を、1枚に書き出す
記録を取る 議事録の下書き、受け取った資料の整理と保管
住民への広報 お知らせやアンケートの文面をつくる
比較表をつくる 各社の提案を同じ項目で並べる
連絡・日程調整 会議の日程を決め、管理会社と連絡を取る

会議に毎回は出られなくても、記録や文面づくりなら引き受けられる人がいます。委員になる人と、特定の作業だけを手伝う協力者を分けて募ると、声をかけられる相手が増えます。

募集の文面には、次のことを書いておきます。

  • 委員会は調査・検討をして案をまとめる場で、決めるのは理事会と総会であること
  • いつまでの役目か(例:施工会社の選定まで、工事の完了まで、のように段階で区切る)
  • 会議の開き方(曜日や時間帯、オンラインで参加できるか)
  • 頼みたい仕事の一覧と、建築の専門知識は要らないこと

期間を段階で区切るのは、引き受ける側の不安を減らすためです。検討の全体は理事の任期をまたぐことがあり、終わりの見えない役目は引き受けにくいものです。

声をかける相手を広げる

掲示や配布で集まらないときは、個別に声をかけることになります。候補を探す手がかりの例です。

  • 前回の大規模修繕のときに委員や理事を務めた人
  • 総会や説明会で、修繕や積立金について質問した人
  • アンケートに「協力できる」という欄を設け、そこに丸をつけた人
  • 住んでいない区分所有者(オンラインの会議なら参加できることがある)

アンケートの設計はアンケートと説明会の設計、退任した理事に残ってもらう考え方は理事の任期をまたぐときの引き継ぎで扱っています。

組合員以外に入ってもらうとき

国のひな形であるマンション標準管理規約のコメントは、専門委員会について、検討の対象に関心が強い組合員を中心に構成されるとしつつ、必要に応じて専門的知識を有する者(組合員以外も含む)の参加を求めることもできるとしています。

2025年10月の改正では、修繕委員会は工事請負契約などの多額の発注・契約の意思決定に直接関わることから、部外者のなりすましを防ぐため、専門委員の候補者の本人確認を適切に行うことが有効とするコメントが加わりました。方法の例として、顔写真付きの身分証明書の提示が挙げられています。

(出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」2025年10月17日改正、第55条関係コメント②③・第35条関係コメント⑩、2026-10-22 確認)

組合員でない家族や、外部の専門家に委員として入ってもらう場合は、誰まで委員にできるか、本人確認をどうするかを、理事会で決めて記録しておきます。

少人数で回すときの分担

委員が2〜3人しか集まらない、あるいは理事会が委員会を兼ねる場合は、作業を外に出せるところを探します。

担い手 頼みやすいことの例 組合に残すこと
管理会社 会議の日程調整、資料の準備、過去の工事記録の提供 何を比べ、どれを案にするかの判断
外部の専門家 調査・診断、仕様の整理、比較の助言 依頼する範囲と、専門家の選定
理事会 委員会の案を議案に整える 総会に出す議案の決定

マンション管理適正化法は、「基幹事務」の一つとして、マンション(専有部分を除く)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整を挙げています。管理会社は、この基幹事務を含む管理事務を管理組合から受託する立場です。ただし、大規模修繕の検討のどこまでが委託契約の範囲かは、契約によって違います。

(出典:「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」第2条第六号、e-Gov法令検索、2026-10-22 確認)

管理会社に頼める範囲は理事会・修繕委員会・管理会社の役割分担を、専門家に頼む場合の費用の見方は設計監理・コンサルタントの費用の考え方をご覧ください。作業を外に出しても、比べて選ぶ判断は組合に残ることは変わりません。

少人数で進めた経過を残す

少ない人数で進めると、後から「一部の人だけで決めた」と受け取られることがあります。募集を尽くしたことと、分担を決めた理由を記録しておきます。

  • 募集した方法と期間、声をかけた範囲、応募の状況
  • 委員と協力者の名前、それぞれの担当
  • 管理会社や専門家に頼んだ範囲と、その理由
  • 検討の経過を住民に知らせた日と方法

議事録の書き方は議事録と記録の残し方にまとめています。

※ 本記事は、国土交通省の公表資料をもとにした一般的な整理です。委員会の設置や構成は、管理規約と理事会の決定によって変わります。

よくある質問

委員が1人しか集まりません。委員会をつくらずに進めてもよいですか

標準管理規約の第55条は、理事会が「専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる」と定めており、置くかどうかは組合の判断です。理事会が検討を担い、調査や比較の一部を外部に頼む進め方もあります。その場合も、理事会の議事録に検討の経過を残してください。

住んでいない区分所有者にも頼めますか

標準管理規約では、組合員の資格は区分所有者となったときに得るものとされ(第30条)、住んでいるかどうかは問われていません。会議にオンラインで参加できるようにすると、頼める相手が広がります。

委員に謝礼を出せば集まりますか

標準管理規約には、役員活動費の額と支払方法を総会で決める定め(第48条第二号)がありますが、専門委員への謝礼についての定めはありません。出す場合は、金額と支払いの根拠を総会で確かめておくと、後から説明できます。扱いの考え方は修繕委員会の作り方と役割でも触れています。

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付録:本記事で使用した専門用語一覧

用語解説
修繕委員会大規模修繕の検討を行うために設ける組織。決定権は持たない。
専門委員会理事会の下で、特定の課題を調査・検討する組織。修繕委員会もその一つ。
組合員管理組合の構成員。区分所有者となったときに資格を得る。
基幹事務マンション管理適正化法で定める、管理組合の会計の出納や、維持・修繕の企画・実施の調整などの事務。
本人確認委員の候補者が本人であることを、身分証明書などで確かめること。
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